daibook’s blog

読んだ本の感想を書きます。Amazon Kindle Unlimitedを中心に利用していますが、その他の本についても書いていきたいです。

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

【小説感想】『坂の上の雲(6)』司馬遼太郎

6巻は、”余談の司馬”の真骨頂だ。巻の約半分が、奉天作戦と関係の無い余談で占める。本筋には関係ないが、こういったバラバラのパーツを複合していくことがこの大作を楽しむコツのひとつだ。なぜこうも余談を挟むのか、私なりの解釈はあるが、全巻の総括に後…

【小説感想】『坂の上の雲(5)』司馬遼太郎

203高地の攻防戦、バルチック艦隊の多難な航海を経て、日露戦争最大の会戦である奉天会戦へと物語は進む。 203高地の幕引きは、戦争が、その勝敗に関わらず、終わってみれば如何に無益な所業であるかを感じさせる。休戦を迎えた人々に、民族同士のわだかまり…

【小説感想】『坂の上の雲(4)』司馬遼太郎

遂に日露戦争が幕を開ける。第4巻は、過言を恐れず言えば、日露戦争を理解するための伏線的な立ち位置の巻であるように思う。 純粋な事実の連続たる戦史を、小説として成り立たせるとき、その一部は説明的にならざるを得ない。そういった前提をもって、この…

【小説感想】『坂の上の雲(3)』司馬遼太郎

いよいよ日露戦争の色濃い情勢となった第3巻。戦争に対する準備とは、軍備の充実に留まらない。それに付帯する金策や政治的駆け引き、組織改革まで含まれる。戦争を前に、日本全体が武者震いする様子を精緻に描く。 戦争は、一兵卒の集合によって行われるが…