最終巻は、日本海の陰鬱な湿気と、爆薬、甲板の焦げる匂いに満ちている。漂う緊張感は、これまでの比にならない。第6章の副題「死闘」が示すとおり、戦局の一手一手に、国家の命運がかかっているからだ。 ここまで来ると、冗長な説明は不要に思う。列強の干…
第7巻に副題を与えるとすれば、「戦争の本質とは何か」だ。 ドイツ軍人のクラウゼヴィッツは戦争を、「政治におけるとは異なる手段を持ってする政治の継続にほかならない」と説いた。奉天会戦も、日本海海戦も政治の継続の一環だ。 司馬は、戦争が政治の一環…
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