daibook’s blog

読んだ本の感想を書きます。Amazon Kindle Unlimitedを中心に利用していますが、その他の本についても書いていきたいです。

【小説感想】『坂の上の雲(3)』司馬遼太郎

いよいよ日露戦争の色濃い情勢となった第3巻。
戦争に対する準備とは、軍備の充実に留まらない。
それに付帯する金策や政治的駆け引き、組織改革まで含まれる。戦争を前に、日本全体が武者震いする様子を精緻に描く。


戦争は、一兵卒の集合によって行われるが、無論その意思は組織に寄っている。組織の意志とは、指揮官の意思であり、戦争自体、指揮官同士の精神的決闘と言っても過言ではないのでないか。
司馬は、両軍の指揮官らをあくまで客観的に捉える。
さながら囲碁感想戦のようにも思えるその手法は、指揮官たる人物像を克明に炙り出し、否が応にも自己の世界を顧みてしまうのだ。
つまり私はこう思う、「自分が目指す指揮官像とはこの人物か否や」と。

 

当初三名の影は薄くなってきたが物語が躍動し面白みの出てくる3巻だった。

新装版 坂の上の雲 (3) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (3) (文春文庫)