daibook’s blog

読んだ本の感想を書きます。Amazon Kindle Unlimitedを中心に利用していますが、その他の本についても書いていきたいです。

【小説感想】『坂の上の雲 (2)』司馬遼太郎

病床にある子規と、海外へ羽ばたく秋山兄弟が対照的に描かれる。第2巻のテーマを与えるとすれば、「ナショナリズムの発揚」だ。
本書を読み読者は、列強のアジア政策に対するナショナリズム発揚の様子を追体験する。明治の時代は、資本主義の最も醜い部分が発露した時代であった。
現代を思う時、明治と同様な不穏な雰囲気を感じるのは私だけだろうか?
情報を制する巨大企業が、各国の税金を逃れて世界の人々を支配し、それに連なる列強はこぞってブロック経済政策を推進している。
秋山兄弟は戦争体制の構築に、子規は俳句という国民文化に人生を捧げた。
平成が終わり、令和になっても、本当に個人だけの幸福を追求するだけで良い時代が続いていると思っていて良いのだろうか?
時を越えて、深刻な問いを投げかけられる思いのする第2巻だった。

 

新装版 坂の上の雲 (2) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (2) (文春文庫)